『三立ての原則』で食べる蕎麦
いつも台所にそば粉を常備し、気軽にそばを打ち、食べてみてください。
新鮮なそば粉を使い、挽き立て、打ち立て、茹で立てのいわゆる『三立ての原則』でいただく蕎麦は、他では味わえない格別な風味と美味しさをお約束いたします。
ご家族や友人と役割を分担しながら、「蕎麦振る舞い」(粉挽きから後片付けまで)のすべてが楽しんでいただけることと思います。一つ一つに新しい発見と喜びがあり、きっと楽しいひとときを過ごしていただけるものと確信しております。
蕎麦工房 紗羅餐 主宰 服部隆実演による蕎麦打ち工程を動画にいたしました。
蕎麦打ちの参考にしていただければ幸いです。
蕎麦打ちの手順
「蕎麦打ちは難しい…」とよく言われますが、では何が難しいのか?
それは、そばを生地にした時どれだけ綺麗につなげておく事が出来るかではないでしょうか?
そば粉を水でとくと粘りが出ます。この粘りを理解すれば決して蕎麦打ちは難しいものではありません。そこで、まずは【そばがき】作りながら、そば粉の粘りを体験されておくことをお勧めします。
【紗羅餐 自家製粉 そばがき用 粗挽きそば】はこちらからご購入いただけます。
それでは実際に”二八そば”を打つ手順を見ていきましょう。
二八そばにも2種類あって小麦粉:そば粉=2:8の割合を内二八そば、小麦粉:そば粉=2:10の割合を外二八といいます。今回は小麦粉100gにそば粉400gの内二八そばです。
(動画は小麦粉200gにそば粉800gです。)
当店でも使用している蕎麦の材料、道具は当店が運営するショッピングサイトからご購入いただけます。
工程1.水まわし
手篩でふるった粉そば粉400g、中力粉100gをよく混ぜたら、水を半分量(約130ml)入れてよくかき回す。
指先で突くようににしてかたまりを突きくずす。
粉を手のひらにはさみ細かい粉に戻すようにこすり合わせる。
残りの水の3分の2程度の水(約80ml)を入れ、同じようにかき混ぜ、突きくずし、水を全体になじませる。
残りの水をふり入れてかき混ぜてから転がすように混ぜていくとだんだん小芋状になってくる。
材 料 … 全粒粉 そば粉、中力粉
使用道具 … 手篩、こね鉢
工程2.練り
指を立ててかき混ぜているうちに、そばの小さなかたまりが少しづつくっついて小イモ大になります。こうなったら、そば粉をつかむように、また、かたまり同士をくっつけながら、一つのかたまりにまとめ練ります。
練るのは粘りを出すためではなく、まず生地の中にある空気を抜くためです。さらには、水分量のばらついた生地を滑らかに整えます。練りすぎはそばを不味くします。両手を重ねて体重をかけてゆっくりと押し出すように練るのがポイントです。
使用道具 …こね鉢
工程3.くくり
練がすんだら、全体の表面を一カ所に押し込むようにして丸め、鉢にこすり付けたり、手のひらで上から下へこすって表面が滑らかになるようにまとめます。
使用道具 …こね鉢
工程4.丸だし
生地と麺打ち台の間に打つ「下打ち粉」はそばを打つうえで非常に重要です。生地を置く位置にあらかじめ薄くふりまき、万遍なく手のひらでならすように打ち粉をします。
麺打ち台に打ち粉をしたら生地をのせ、押しつぶして平らく丸くします。
真ん中と縁が高くなるように、生地を回転させながら手のひらで中から外に向かって押し出していきます。この作業を「鏡だし」とも言います。直径30cm、厚さ約10㎜位になるまで手で伸ばします。
次にのし棒を使って均等にやさしく滑らかに力をかけてのしていきます。全体の丸い形を崩さないように、少しづつ回転させながらのし棒で直径50cm、厚さ7㎜くらいまで伸ばします。
工程5.角だし
丸くのした生地を四角くするのが角だしです。
のし棒に生地を全部巻き付け、真ん中の部分に手のひらをあて、力を加えながら転がします。広げると力を加えた真ん中の部分が伸びて角が出来ます。
生地を180度回転させて生地を巻き付け、同じようにのすと先ほどの対角の角が出来ます。
このような方法で4つの角が出来たら、記事全体が四角く、厚さが均一になるようにのします。
工程6.幅だし
そばの長さをつくるのが幅だしです。角だしをした生地をひとつの方向にのしていき広げます。その長さの半分がそばの長さになります。
幅だしは、生地をのし棒に巻き取り転がしてのばす「巻きのし」というやり方で伸ばします。この時、真ん中から端へ万遍なく手の位置を変えながら行う事で形を崩さず生地をのす事が出来ます。最初に伸ばした方向を「めん線」といってそばの長さになる方向で、70cm位までのばします。
ココで失敗しないポイントは、同じ方向からばかり何度も伸ばさないで、2回やってのしたら、のし棒に巻いたままくるっと180度生地を回転させ下から上に生地をほどき、もう一度下から巻き直して巻きのしをすることです。
さらに90度回転させて同じように巻きのしをします。こちらは50cm位が目安です。
工程7.仕上げのし
生地全体の厚みが均一になるように、のし棒を転がして仕上げます。
のし棒を滑らかに転がすことが大切です。
のし棒を抑える手の下の部分の生地が伸びるので、伸ばそうとする位置にのし棒をあわせ、押さえる位置や力加減を調整することがポイントです。
工程8.たたみ
のした生地を切るためにたたみます。
のした生地は強い方向と弱い方向でできています。最後に生地をのした方向(50cm方向)に対して直角の線(70cm方向)が【めん線】で、このめん線方向に切るとそばは途中で切れにくくなります。
のした生地(幅70cm)に打ち粉をしっかりふり、手前の生地を綿棒にのせて、奥に向かって半分にたたみます。
さらに打ち粉をして、右から左に半分にたたみます。この時の横幅がそばの長さ(約70㎝)になります。
最後にもう一度打ち粉をして、左から右へ3分の2ぐらいのところまで折り返します。
工程9.切り
左手で駒板をしっかり押さえ、駒板のたての板に沿って、まっすぐに包丁をおろします。
まな板に包丁がついているときに包丁を少し左に倒し駒板を蕎麦一本分ずらします。この動作を繰り返し、そばを切っていきます。
130gが一人前の目安です。
そば職人は何回切ったかの『切り数』で1人分の量を判断しています。
工程10.ゆで
出来るだけ大きな鍋に、たっぷりの湯を沸かします。火はずっと強火です。
沸騰したら1人前をそっと入れます。お湯の温度が下がらないように、1人前づつゆでる事が美味しくゆでるポイントです。
箸でかき混ぜたり、差し水はせず、蓋をして約40秒、そばがふわっと浮いてきたらゆで上がりです。
すばやくざるですくい、ボウルの流水の中でそばの熱とぬめりを取ります。
温度が下がったそばを氷水を入れたボウルに入れます。これによりそばがしまり、強いコシがうまれます。
釜からあげて10分ぐらいまでが最も美味しくいただけます。
食べる準備をしっかりしてからゆで始めましょう。